石垣島TRIP Vol.2 実釣編 by RYUHEI OGURA
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準備」「実釣」そして次回こそ神様が味方をしてくれると言う根拠もない希望と後悔を伴う「後片付け」。釣り人にはこの大きな3つの”楽しみ=FUN”が用意されています。
今回は、散々「準備」を楽しんだ釣り人が「実釣」に出かけます。LCCの直行便はCAさんも美人で2時間半の快適な空の旅も早々に到着。
とりあえずのソーキ蕎麦を流し込み、半袖短パンに着替える。原付に跨り釣り場へ向かう。
ポツリポツリ“見て見ぬフリ”を続けた予報が当たる。
瞬く間にバタバタバタと音を変え大粒の雨に。「こんなはずでは無かった」
翌朝、早めに目覚めても暴風雨は続き、、、
川は浅く日照りや風向きで水温がすぐに変わってしまう。マングローブには狙いの魚は留守のようで、この旅の最終日に河口の岩の影から出て来た個体が唯一のマングローブジャックとの出会いだった。
それでも気まぐれな強い風は雲を切り太陽が顔を出す。高い角度からの刺すような日差しは速乾のウェアを直ぐにカリカリに乾かし鼻の頭の皮をめくろうとする。
小さな島は少しでも走れば風裏や風当たりの向きを選べるのも魅力の一つ。
地図で確認して森を抜けるとリーフに出やすいビーチ。
「ここは巣だな」
まずは現地名イシミーバイことカンモンハタ大阪のおばちゃんも顔負けの見事な斑紋を描いた巨大な団扇状の尾鰭。
こちらはマダラハタの子供。お父さんのように獰猛に、口に食べ物が入ったまま僕のフライも咥えてきました。
現地では「アメリカ」と呼ばれる。
言われてみれば星条旗に見えなくも無い。他にも岸近くで釣れる「”オキ”フエダイ」やネーミングの安易さが好きな珍客、カマスベラなと多種多様な魚が暖かく迎えてくれる。
日差しを感じて気持ち良く釣りがてきたのはほんの30分ほど、分厚い雲がみるみる近づいてきて、またレインウェアを着込み北風にガタガタ震えながら竿を振る。
晴れ間のタイミングが日の出に重なった。この度で唯一見られた朝日だった。
「今日はいいことがありそうだ」
テントの前のビーチは遠浅で毎日テイリングをする巨大なゴマモンガラに翻弄された。しかし釣れたのは少し違ったトリガーフィッシュ。
クマドリとムラサメモンガラ、ダイビングやシュノーケリングでも人気なのは愛嬌のあるこの顔と好奇心旺な性格のおかげだろうか。
北部にある小規模なマングローブの林では美しいパシフィックターポンのローリングに遭遇。
「イセゴイ」という和名の由来はここから?と思えるような鱗模様が美しい。
小さい体ながら見開いたターポンらしい大きな目としばらく睨めっこ。「また会いに会いましょう」と勝手な約束を交わして今回の旅を締めくくった。帰宅後にカメラの中身を整理すると嵐の島での時間の流れや空気、雨や風の記憶を呼び起こす。
今回出会った魚たち風景はどれも個性に溢れ個人的にグッと来る特徴にフォーカスしてレンズを向けたもので、そこには辛い痛い寒いと言った感覚はすでに無く、雨の中での大爆笑や、びしょ濡れで食べたソーキそばの味、何より美しく純粋な目をした魚たちと出会えた感動だけを蘇らせてくれる。次は何処へ行こうか。
また地図を睨む日々が始まる。